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日本版画協会巡回展について




 巡回展係


 日本版画協会巡回展事業は新型コロナウイルス感染症の影響により2020年から開催を見合わせていました。未知のウイルスによる恐怖や日々の感染者数の報道はまだ記憶に新しいと思います。版画展を始め全国的な催事の中止が表現者たちの活動に暗い影を落としました。

 そんな中2021年2月、私は巡回展係前任の牧野浩紀さんより後任の話を頂きました。牧野さんとはコロナ以前には版画展の展示係で共に仕事をしたり、係の打ち上げや懇親会後に締めのラーメンをすするなど親しくさせてもらっていました。しかし当時私は会員になって3年目と浅く、会員として巡回展に出展したこともなかったため、巡回展がそもそもどんなものなのか分かりませんでした。さらに子育てで自身の制作時間や発表する機会が減り、コロナによる閉塞感も相まって版画活動に希望を持てなくなっていた時期でもあったため判断に窮しました。しかし、巡回展再開まで1年以上の長い準備期間があること、牧野さんからの信任であること、そして妻と子どもの存在と将来が私の背中を押し、巡回展係の仕事を引き継ぎました。そうして2022年度より巡回展事業は再開されました。


 準備期間


 巡回展作品の収集は版画展画集掲載作品の写真撮影のタイミングで行います。会員の画集掲載作品の写真撮影は例年8月頃、川上弘美写真スタジオ様のもとで行われます。事前に郵送される画集要項の中には巡回展に関しての事項が設けられており、会員は巡回展に出展希望か否かをチェックし、送付用紙とともに作品をスタジオに送っていただきます。写真撮影後、巡回展出展希望者の作品はそのまま巡回展作品としてお預かりし、株式会社ジェイ・エフ・ジー様のもとで額装され巡回展会場へ搬入する流れになります。

(画集掲載作品と異なる作品を巡回展作品にする際は、別途送付用紙を記入し画集掲載作品と巡回展作品を同梱しスタジオにお送りください。画集掲載作品を画像データでWeb入稿する方に関しても、巡回展出展希望者は実作品をスタジオにお送りください。) 

   2022年度巡回展開催までの準備期間で私が独自に取り組んだことは、作品サイズごとの額装の実現です。これまでの巡回展では例えシートサイズ100x100mmの作品であっても1000x700mm(巡回展作品上限)の作品であってもB1サイズ(1030mm x 728mm)に額装されるという仕様で通していました。しかしながらこの仕様では高騰する額装、梱包、配送費の影響を受けるのはもちろん、何より見た目が良くありません。そこで、ジェイ・エフ・ジー代表取締役の国吉真輝様に額装仕様の変更を直談判し、作品サイズごとの額装を実現しました。これにより約12万ほど額装費を削減することができ、展示会場壁面により多くの作品を展示することができました。実際に2022年度巡回展では収集した全ての作品を全会場で展示することができました。

 巡回展作品の収集や作品データの共有は画集係主任はじめ川上弘美写真スタジオに集まっていただいた方々にお手伝い頂きました。ポスターに関しては2022年度は手島圭三郎さんの作品「しまふくろうの夜」を許可頂き掲載しました。ポスター編集・校正・出力は2022年度は宮寺彩美さんと連携して行いました。巡回展開催までの準備にご協力いただいた全ての方に感謝申し上げます。


安河内裕也




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