日本版画協会巡回展 北海道(2022) 士別 2022年度初めての巡回展は2022年11月6日〜11月27日、北海道の士別市立博物館主催で「士別市生涯学習情報センターいぶき」にて開催されました。 士別には日本版画協会理事長であり士別まちづくり応援大使の小林敬生さんにご同行頂きました。小林敬生さんとは私が福岡教育大学の学生時代からのお付き合いでしたので、とても心強く頼りにさせて頂きました。士別滞在では小林敬生さんに展示作業の監督、ギャラリートークをご担当頂き、私はワークショップを担当させて頂きました。 11/5のワークショップは銅版画の腐食技法(エッチング)による製版から刷りの全行程を行いました。展示会場の別室に銅版画プレス機を設置し、養生を整え腐食液、水を張ったバットを用意し簡易工房を設営しました。その他ニードルやグランドなどの道具は事前に発送していたので準備は万全でした。エッチングは液体グランドの流し引き、下絵転写、ニードルでの描画、腐食、試し刷り、本刷りと大学の授業でも行われる一般的な行程です。銅板サイズは葉書サイズの紙に収まる60x70mmや70x90mmなど小さい様々なサイズを用意しました。その中から参加者に自分の希望するサイズの銅板を2枚選んでもらい作品にします。自分で板を選ぶという導入は各自の判断で作品を仕上げていく責任感と達成感を持ってもらうためです。また銅板2枚の内1枚目はニードルとグランドを引いた銅板との感触や抵抗を実感してもらうデッサン用として制作しました。銅版画にかかわらず、真っ白のキャンバスや木、アルミ板などへの初めの一手とは緊張したり線が固くなるものです。そんな心身へ影響する緊張や抵抗をほぐすために1枚目の板には下絵を転写せず思いのまま描画、腐食、刷りを行いました。2枚目の板には1枚目の経験を得た状態で下絵転写から本刷りまで行いました。8名の参加者のもと、10時〜16時というお昼を挟む長丁場でありましたが皆さん興味津々に集中して制作されていました。 展示作業は85点の作品がありましたが、展示会場のスタッフの皆様、小林敬生さんのご尽力のおかげでワークショップの午前が終わる頃には、ほぼ完了しておりました。その手際の良さには驚かされました。 11/6の小林敬生さんのギャラリートークでは前日のワークショップ参加者や士別市教育員会教育長、士別在住の会員小池暢子さんなど多数の方々がご来場されました。小林さんは各作家への思い出などを交えながら版種や技法、材料や感性など多種多様な作品の説明をされており、人情味あふれるギャラリートークになりました。その後、士別市長や教育長、士別在住の画家、声優、薬剤師の方々などを交え懇親会をご用意していただきました。こうして皆さまに支えられながら、私にとって初めての巡回展という大仕事を終えることができました。 士別滞在での成果は主に二つです。一つは2023年度第90回日本版画協会記念展の巡回展開催の意思表明を小林敬生さんからお伝えして頂き、後日その意向が叶ったことです。90回記念展という節目もありますが、歴代の巡回展係、ワークショップ、ギャラリートークなどに参加された先生方、そして小池暢子さんが育ててきた版画の種が苗となり成長したことで前例のない2年連続開催を実現できたと思います。そして二つ目は、後述に繋がりますが、私自身の巡回展の方向性についての発見です。
士別 2022年度初めての巡回展は2022年11月6日〜11月27日、北海道の士別市立博物館主催で「士別市生涯学習情報センターいぶき」にて開催されました。 士別には日本版画協会理事長であり士別まちづくり応援大使の小林敬生さんにご同行頂きました。小林敬生さんとは私が福岡教育大学の学生時代からのお付き合いでしたので、とても心強く頼りにさせて頂きました。士別滞在では小林敬生さんに展示作業の監督、ギャラリートークをご担当頂き、私はワークショップを担当させて頂きました。 11/5のワークショップは銅版画の腐食技法(エッチング)による製版から刷りの全行程を行いました。展示会場の別室に銅版画プレス機を設置し、養生を整え腐食液、水を張ったバットを用意し簡易工房を設営しました。その他ニードルやグランドなどの道具は事前に発送していたので準備は万全でした。エッチングは液体グランドの流し引き、下絵転写、ニードルでの描画、腐食、試し刷り、本刷りと大学の授業でも行われる一般的な行程です。銅板サイズは葉書サイズの紙に収まる60x70mmや70x90mmなど小さい様々なサイズを用意しました。その中から参加者に自分の希望するサイズの銅板を2枚選んでもらい作品にします。自分で板を選ぶという導入は各自の判断で作品を仕上げていく責任感と達成感を持ってもらうためです。また銅板2枚の内1枚目はニードルとグランドを引いた銅板との感触や抵抗を実感してもらうデッサン用として制作しました。銅版画にかかわらず、真っ白のキャンバスや木、アルミ板などへの初めの一手とは緊張したり線が固くなるものです。そんな心身へ影響する緊張や抵抗をほぐすために1枚目の板には下絵を転写せず思いのまま描画、腐食、刷りを行いました。2枚目の板には1枚目の経験を得た状態で下絵転写から本刷りまで行いました。8名の参加者のもと、10時〜16時というお昼を挟む長丁場でありましたが皆さん興味津々に集中して制作されていました。 展示作業は85点の作品がありましたが、展示会場のスタッフの皆様、小林敬生さんのご尽力のおかげでワークショップの午前が終わる頃には、ほぼ完了しておりました。その手際の良さには驚かされました。 11/6の小林敬生さんのギャラリートークでは前日のワークショップ参加者や士別市教育員会教育長、士別在住の会員小池暢子さんなど多数の方々がご来場されました。小林さんは各作家への思い出などを交えながら版種や技法、材料や感性など多種多様な作品の説明をされており、人情味あふれるギャラリートークになりました。その後、士別市長や教育長、士別在住の画家、声優、薬剤師の方々などを交え懇親会をご用意していただきました。こうして皆さまに支えられながら、私にとって初めての巡回展という大仕事を終えることができました。 士別滞在での成果は主に二つです。一つは2023年度第90回日本版画協会記念展の巡回展開催の意思表明を小林敬生さんからお伝えして頂き、後日その意向が叶ったことです。90回記念展という節目もありますが、歴代の巡回展係、ワークショップ、ギャラリートークなどに参加された先生方、そして小池暢子さんが育ててきた版画の種が苗となり成長したことで前例のない2年連続開催を実現できたと思います。そして二つ目は、後述に繋がりますが、私自身の巡回展の方向性についての発見です。
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